仕事人間として全国を飛び回っていた彼女ですが、その私生活には昭和から平成の働く女性特有の苦悩と、家族への深い愛情が存在していました。
東海林のり子の夫は一般企業に勤める会社員でした。当時としては極めて珍しく、妻が昼夜を問わず事件現場へと急行する過酷な仕事を全面的に応援し、精神的な支柱となり続けた良き理解者でした。彼女自身、著書やインタビューで「主人の支えがなければ、この仕事を続けることは絶対にできなかった」と度々感謝の言葉を述べています。後に夫を見送る(死別)という深い悲しみを経験しますが、その喪失感を抱えながらも前を向く強さを失いませんでした。
また、東海林のり子の子供(長男)との関係性においても、独自の哲学が貫かれています。多忙を極めるあまり、子育てにおいて十分な時間を割けない葛藤に直面した時期もありましたが、彼女が選んだのは「過干渉にならず、一人の人間として信頼し合う」というスタンスでした。昭和の母親像にありがちだった「子供への執着」や「自己犠牲の押し付け」を排し、精神的な自立を保った親子関係を築き上げたことは、現代の家族関係のあり方としても極めて示唆に富んでいます。