中村嘉葎雄の現在と萬屋錦之介との絆|名優の歩みと家族の真実

中村嘉葎雄の現在と萬屋錦之介との絆|名優の歩みと家族の真実

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中村嘉葎雄の人生を語る上で欠かせないのが、3歳年上の実兄であり、東映時代劇の絶対的エースとして君臨した萬屋錦之介(中村錦之助)の存在です。三代目中村時蔵の四男として生まれた嘉葎雄にとって、三男である錦之介は常に背中を追い続ける目標であり、同時に巨大すぎる太陽のような存在でもありました。

東映全盛期には共に看板スターとしてスクリーンを彩り、その後、萬屋錦之介が立ち上げた「錦之介プロダクション」にも深く関わりました。しかし、1980年代初頭に錦之介プロダクションが巨額の負債(約13億7000万円)を抱えて倒産した際、嘉葎雄も役員や連帯保証人として深刻な経済的危機と法的責任の波に直面することになります。

当時の報道では「兄弟の亀裂」「絶縁の危機」といったセンセーショナルな見出しが紙面を飾りました。しかし、当時の特番インタビューや関係者の手記で明かされたのは、憎しみではなく「偉大すぎる兄を守りきれなかった悔恨」と「表現者としてそれぞれ自立しなければならない苦渋の決断」でした。錦之介が晩年に重病(重症筋無力症など)と闘い、1997年に64歳で世を去るまで、二人の間には血を分けた表現者同士にしか理解できない深遠なリスペクトが横たわっていました。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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