「今すぐこの激痛をどうにかしたい」という一心で、検索窓に「即効治し方」と打ち込むユーザーの心情は切実です。しかし、数分で神経の炎症や椎間板の逸脱が消え去るような魔法の裏ワザは存在しません。ネット上で拡散されている極端な即効手技には大きな危険が伴います。一方で、身体力学と解剖学に裏打ちされた安全かつ迅速に神経の興奮を鎮める実践法は確かに存在します。
その代表が、痛みを誘発しない「脱力型」の坐骨神経痛ストレッチです。椎間板ヘルニア傾向(前屈で痛む人)であれば、うつ伏せに寝転がり、両肘を床につけて上半身をゆっくりと反らせる「マッケンジー体操」が奏功します。飛び出そうとしている髄核を前方に押し戻すベクトルが働き、足への放散痛が中央(腰側)へ戻る現象(セントラリゼーション)が確認できれば、極めて順調なサインです。逆に脊柱管狭窄症傾向(反らすと痛む人)は、仰向けで両手を使って片膝をゆっくり胸へと引き寄せる丸まりストレッチが劇的な除圧効果を生み出します。
さらに、東洋医学的アプローチである坐骨神経痛ツボ押しも、筋緊張性の放散痛に対して即時的な除痛効果を発揮します。特効穴とされるのが、お尻のえくぼ部分にある「環跳(かんちょう)」と、膝の裏の中央にある「委中(いちゅう)」です。親指の腹やテニスボールを使い、痛気持ちいい強さで息を吐きながら5秒かけてゆっくり押し、5秒かけて緩めます。神経をゴリゴリと力任せに擦るのではなく、持続的な圧迫によって局所の筋紡錘を弛緩させ、血流を再灌流させるのが最大のコツです。