作中でユーハバッハが語った「かつての護廷十三隊は護るための集団などではなく、天下の悪党を束ねた殺し屋集団だった」という言葉は、護廷十三隊の根幹に関わる重大な真実を示しています。
創設当時の尸魂界は法や秩序が未成熟であり、各地で強力な力を持った兇賊や野武士、異能者たちが群雄割拠する無法地帯でした。若き日の山本元柳斎重國は、それら制御不能な暴徒たちを圧倒的な「力」のみで屈服させ、一つの軍隊としてまとめ上げました。彼らに共通していたのは「尸魂界を守る崇高な正義」ではなく、「敵を皆殺しにする絶対的な暴力への渇望」だったのです。
千年前の見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)との戦争において、初代十三隊は滅却師たちを情け容赦なく蹂躙しました。人間を盾に取られようと、味方が巻き添えになろうと一切躊躇せず、敵の屍の山を築き上げました。ユーハバッハが恐れ、かつ蔑んだのは、まさにこの「守るものを一切持たない者たちの冷酷無比な強さ」でした。平和な時代が訪れるにつれ、隊長たちは矜持や愛着という「弱さ」を抱えるようになり、組織としての純粋な殺傷力は千年前の足元にも及ばなくなったと指摘されています。