空の安全を預かる航空会社は、単に「雨風が強いから」という感覚的な理由で欠航を決めているわけではありません。航空法規および各社の運航管理規定に基づく客観的な飛行機欠航判断基準が存在します。具体的には、滑走路に対する「横風制限値」(一般的な中・大型旅客機で風速約15〜18m/s以上)、離着陸時の視界不良(RVR:滑走路視程)、滑走路上の冠水状況、そして台風本体よりも危険視される「ウインドシア(局地的な風向・風速の急変)」やダウンバーストの発生リスクです。
これらに加え、利用者をしばしば困惑させるのが条件付き運航の判断理由です。「着陸空港の天候次第で出発地へ引き返す、あるいは代替空港へダイバート(目的地変更)する可能性がある」という条件付きで出発を強行する背景には、現地の天候が一時的に回復する気象ギャップへの期待だけでなく、「機材を目的地に送り届けないと、翌日以降の全国的なフライトスケジュールが崩壊する」という機材運用の都合も絡んでいます。
では、利用者が最も気をもむ欠航決定のタイミング前日何時という疑問に対し、航空各社はどのようなスケジュールで動いているのでしょうか。航空関係者への取材および近年の運航データを総合すると、決定プロセスは明確にパターン化されています。
気象庁が発表する台風の進路予測円の確度が高まる「出発前日の16時から18時頃」にかけて、主要幹線を中心とした計画運休の第1弾が発表されるのが通例です。さらに、進路のブレや夜間の勢力変化を見極める必要がある便については「出発前日の21時前後」や「当日未明(午前4時〜5時)」に最終判断が下されます。現在では、各社が配信する2026年最新運航見通し情報を公式アプリのプッシュ通知でリアルタイムに受信できる体制が整っているため、前日夕方の気象庁発表と航空会社からの第一報を見逃さない体制を整えておくことが初動の分かれ目となります。