近藤真彦がなぜあれほど強大な発言権を持ち、組織内で特別扱いされてきたのかを紐解くには、故・メリー喜多川名誉会長との特殊な力学を無視することはできません。1980年代の爆発的なブーム以降、事務所の実権を握っていたメリー喜多川寵愛は群を抜いており、芸能界において彼は単なる所属タレントを超えた「長男」という名の聖域でした。
その象徴として今なお語り継がれるのが、1989年12月31日に行われた中森明菜の復帰会見、いわゆる金屏風事件真相です。自殺未遂騒動から約半年後、金屏風の前で開かれた会見は婚約発表と誤認させる舞台装置が整えられていたものの、実際は近藤真彦の同席のもとで中森明菜が謝罪を重ねる異様な場となりました。当時を知るベテラン芸能記者の証言によれば、この会見を主導したのはメリー喜多川氏であり、近藤真彦のイメージ失墜を防ぎ、彼を守り抜くための力技であったとされています。
この事件以降、事務所内における彼の立ち位置はアンタッチャブルなものとなり、後輩グループが台頭した平成以降も「ジャニーズ長男」として序列トップに座り続けました。しかし、2019年のジャニー喜多川氏の逝去、そして2021年のメリー喜多川氏の健康悪化と逝去によって、彼を無条件で庇護する絶対的な後ろ盾は完全に消滅。時代のコンプライアンス意識の高まりと相まって、過去の特権性が一気に剥ぎ取られたことが、結果として退所劇の伏線となったのです。