2022年12月の公開から興行収入158億円(国内)、全世界で390億円以上という驚異的な記録を打ち立てた映画『THE FIRST SLAM DUNK』。本作は宮城リョータを主人公に据えたことで、三井寿というキャラクターに新たな陰影とリアリティをもたらしました。
映画の冒頭、沖縄から神奈川に越してきたばかりの孤独な小学生・リョータが、辻堂のストリートコートで1on1をした赤の他人の少年——それこそが、中学時代の三井寿でした。三井の何気ない「お前、うまいじゃん」という言葉が、兄・ソータを亡くして心を閉ざしていたリョータを救っていたという衝撃の事実が明かされます。
後に湘北高校の屋上でリョータを襲撃し、体育館で凄惨な喧嘩を繰り広げた三井は、かつて自分が光を与えた少年を自らの手で踏みにじろうとしていたことになります。この重層的な因縁を知った上で山王工業戦を見直すと、コート上でリョータのパスを受けて三井がスリーポイントシュートを沈め続ける描写は、単なるチームメイトの連携を超え、「奪い合ったふたつの魂が、バスケットを通じて互いを赦し合う儀式」へと昇華されていることが理解できます。