メガホンをとった映画監督の意図は明確だった。単なる派手な破壊工作や銃撃戦ではなく、登場人物たちの歪んだ心理描写と緊迫した駆け引きが交差する緻密な作品世界を作り上げることだ。本作はダイナミックなアクションドラマとしての疾走感を保ちながら、裏社会の闇と人間の業を描くビターなクライムサスペンスとして見事な結実を見せている。
長回しの撮影技法を多用し、登場人物の吐息や微細な表情の変化までを容赦なく捉え続けるカメラワーク。そこには、観客をスクリーンの奥へと引きずり込むような圧倒的な臨場感がある。ジャンルの枠組みを超えた重厚なストーリーテリングは、海外の批評家からも「アジア発のサスペンスにおける新たな金字塔」として高く評価されている。