昨年の万博熱狂が去り、大阪の都市開発の焦点はベイエリアからインナーサードの郊外へと急速にシフトした。主要観光地がテーマパーク化していく中で、信太山に残る細い路地や独特の建築様式は、一部の国内外の都市フィールドワーカーから「失われゆく日本の異世界」として異様な注目を集めている。
だが、現場を覆う空気は決してロマンチックなものではない。建物の著しい老朽化、耐震性の不安、そして何より防災面でのリスクが年々顕在化している。行政側も従来の静観姿勢を改め、防火地域の指定拡大や街路整備などの具体的な再開発構想を打ち出し始めた。