宮城まり子の指導スタイルは、福祉の常識を覆すものだった。彼女がもっとも大切にしたのは「同情」ではなく「子どもの可能性を信じること」だった。彼女は子どもたちに大きなキャンバスと絵の具を与え、自由に表現させた。巧みな技術を教えるのではない。子どもたちの心の奥底にある純粋な感性を引き出すことに全力を注いだのだ。
その結果生まれた絵画作品は、専門家をも唸らせる圧倒的な力を持っていた。パリやニューヨーク、東京などで開催された「ねむの木の子どもたちの絵画展」は世界中で大絶賛され、芸術としての評価を確立した。「障害があるから可哀想」というステレオタイプを、彼女たちは圧倒的な美しさで打ち破ってみせたのだ。