なぜ特定の人物に対して私たちは無条件で好意を抱いてしまうのか。日本心理学会をはじめとする研究成果や学術的な心理学の知見によれば、愛嬌を感じさせる最大の要素は「非言語シグナルによる好意の返報性」と「隙(スモール・フラジリティ)の提示」にあるとされる。
人間は直感的に、完璧すぎる相手に対して警戒心や劣等感を抱きやすい。対照的に、適度な言い間違いや素直なリアクションを見せる人物には、親近感を覚える認知バイアスが働く。恋愛心理学の分野でも、「ゲイン・ロス効果」と呼ばれる心理現象がよく知られている。普段はしっかりしている人物が見せる不意の笑顔や素直な感謝の言葉は、ギャップによる強い好意を生み出す。
愛嬌がある人は、こうした心理的メカニズムを無意識に、あるいは感覚的に使いこなしている。相手の目をしっかり見て微笑む、頷きを大きくする、驚きや感動を素直に表現するといった些細な動作が、脳の報酬系を刺激し、「この人と一緒にいると心地よい」という強い非言語的な確信を生み出しているのだ。