当時、窮地に立たされた部員たちが死の直前まで書き残したメモや手記には、刻一刻と迫るヒグマの足音と、徐々に侵食されていく絶望感がリアルタイムで記録されていた。手記には、「クマが出た」「テンバ(キャンプ地)を追われた」という断片的な言葉とともに、夜間の暗闇でテント越しに聞こえる荒い吐息への恐怖が綴られている。
2026年の最新野生動物行動分析によって明かされた「恐怖の裏側」は、人間側の行動が知らず知らずのうちにクマの所有欲を刺激してしまったという点にある。当時の彼らは、荷物を奪われた後にそれを取り戻す行動に出た。だがヒグマにとって、一度手中に収めた荷物は「自分の所有物」である。それを人間が奪い返したことで、ヒグマは人間を「獲物を横取りする敵」と認識し、異常なまでの執拗さでパーティを追い詰める結果となった。手記に残された極限状態の記録は、野生の掟を無視した判断がいかに致命的であったかを物語っている。