蓮馨寺が川越を訪れる旅行者の間で根強い人気を誇る最大の要因は、境内に漂う「開かれた信仰空間」の親しみやすさにあります。厳格な静寂を強いる寺院とは一線を画し、日常の延長線上で身体の癒やしや家族の無事を祈願できる場所として親しまれてきました。
その象徴として本堂前で圧倒的な存在感を放っているのが、「おびんずる様(撫で仏)」の木像です。釈迦の弟子である十六羅漢の一人「賓頭盧尊者(びんどるそんじゃ)」を象ったこの像は、「自分の身体の悪い箇所と同じ部位を撫でると病気や痛みが平癒する」「頭を撫でると知恵を授かる」という信仰が江戸時代から脈々と受け継がれてきました。
現地を訪れると、長年にわたり無数の参拝者に撫でられ続けたことで、漆が剥がれ滑らかに光り輝くおびんずる様の頭部や膝が目に入ります。病気平癒祈願の切実な願いを受け止めてきた痕跡そのものが、訪れる人々に深い安心感と情緒を与えています。
さらに蓮馨寺には、徳川家康から深く尊崇された「呑龍上人(どんりゅうしょうにん)」が祀られています。戦国末期から江戸初期にかけて、貧困で育てられない子どもたちを引き取って育てたことから「子育て呑龍」として信仰を集め、現在も安産祈願・子宝・子どもの健やかな成長を願う親世代の参拝が絶えません。
加えて、小江戸川越七福神の第5番霊場として「福禄寿神」を安置しており、人徳・福徳・長寿延命をもたらす神仏習合のパワースポットとしても高い評価を得ています。