スマートフォンのカメラを月に向けてそのままシャッターを切ると、ほぼ100%の確率で月が白く発光した円盤のように写ります。この現象が起きる根本的な理由は、スマートフォンの自動露出(AE)システムの仕組みにあります。
カメラの自動露出機能は、画面全体の明るさを平均化して「適正な明るさ」に調整しようと働きます。夜間撮影では画面の大半を漆黒の夜空が占めるため、カメラのAIは「極端に暗い環境にいる」と誤認し、画面全体を明るくしようとISO感度を跳ね上げ、シャッタースピードを遅くします。その結果、すでに太陽の光を浴びて強烈に輝いている月に大量の光が取り込まれ、スマホの月撮影で白飛びを防ぐコツを知らないままでは光の情報が飽和してしまうのです。
もう一つの落とし穴が、ピントの迷いによる「ボケ」です。漆黒の空間に浮かぶ小さな点光源に対してスマートフォンのオートフォーカス(AF)はピントを合わせにくく、ピントが前後に彷徨う現象(ウォブリング)が発生します。月撮影を成功させる第一歩は、カメラの全自動機能に頼るのをやめ、露出とピントを人間の手でコントロールすることにあります。