無限城での戦いにおいて、水柱・冨岡義勇の「柱展」による極限の剣技と、炭治郎が到達した「透き通る世界(相手の筋肉の動きや血流を視覚化し、闘気を完全に消し去る無我の境地)」は、猗窩座の絶対的な探知能力「破壊殺・羅針」を打破しました。
炭治郎の「ヒノカミ神楽 灼骨炎陽」によって頸を切り落とされながらも、猗窩座は執念で首のない肉体を操り義勇たちを窮地に追い込みます。しかし、炭治郎の放った「もうやめろ!」という叫びと素手の殴打が、かつて自分を優しく叱ってくれた師匠・慶蔵の拳と重なり、過去の記憶の濁流が溢れ出しました。
鬼舞辻無惨の「お前は強くなりたいのだろう」という引き留めを振り切り、現れた恋雪の魂に抱きしめられたとき、猗窩座(狛治)は涙を流しながら最期の言葉を紡ぎます。
「ごめん…守れなくてごめん…約束を…何一つ守れなかった…!!」
「許してくれ…俺を許してくれ…頼む…許してくれ…!!」
このセリフとともに、彼は自らに向けて放った技の威力で自壊し、愛する恋雪とともに地獄の業火の中へと消え去っていきました。
【プロの結論】心理学・防衛機制から読み解く猗窩座の悲劇
猗窩座の生き様は、心理学における「反動形成」と「トラウマによる防衛機制」の典型例として深く分析できます。彼は「大切な人を守れなかった無力な自分」という耐え難い自己否定から逃れるため、「弱者への激しい嫌悪」と「強さへの狂信」という正反対の執着を自らに課しました。炭治郎の純粋な真っ直ぐさに触れたことで防衛機制が崩壊し、自らの本当の願望(強くなることではなく、愛する人と共に生き、守ること)に回帰できたことこそが、彼の魂にとって唯一の救済だったといえます。