ビジネス界に最大の衝撃を与えたのが、2021年2月6日に報じられた警視庁による原田泳幸氏の逮捕でした。被害を訴えたのは、1980年代から1990年代にかけて数々のヒット曲を生み出し、2002年に原田氏と結婚したシンガーソングライターの妻・谷村有美氏でした。
原田泳幸の逮捕の真相について報道各社の司法担当記者が記録した取材メモによると、事件の引き金は自宅内での口論でした。原田氏がゴルフの練習器具(スイング練習用スティック)を用いて谷村氏の身体を殴打した疑いがもたれ、谷村氏自らの通報によって警察官が駆けつける事態に発展しました。逮捕直後、原田氏は容疑を否認していたものの、東京区検は傷害罪で略式起訴。東京簡易裁判所は罰金30万円の略式命令を出し、原田氏側が即日納付したことで刑事手続きは決着しました。
この事件が報じられた直後、台湾発のティーカフェチェーンとして急拡大中だったゴンチャジャパンは、原田氏の休職を発表。その後間もなくゴンチャ辞任へと発展しました。卓越した経営手腕を誇るリーダーであっても、コンプライアンスや家庭内暴力の疑惑に対して世論とグローバル投資ファンドは極めて厳しい視線を注ぎます。おしどり夫婦として知られ、かつては対談記事にも登場していた夫妻のプライベートな摩擦は、カリスマ経営者の社会的信用を一瞬で失墜させる決定打となりました。