人間が「目が笑っていない笑顔」に対して本能的な恐怖を抱くのには、進化心理学的な明確な根拠が存在します。私たちは太古の昔から、他者の表情筋のわずかな動きを読み取り、相手が「味方(好意)」か「敵(害意)」かを瞬時に識別することで生存確率を高めてきました。
笑顔のシグナルを受け取った脳は通常、「安心・安全」のサインとして処理します。しかし、目の奥に感情の動きが見られない場合、視覚情報(笑顔)と直感的な察知(感情の不在)のあいだに致命的なズレが生じます。このギャップに直面した脳のアラーム機能が作動し、「何を企んでいるか分からない」「裏で悪意を隠しているのではないか」という不気味の谷現象に近い警戒シグナルを鳴らすのです。
相手が無意識に放つ「感情の不一致」を察知した結果としての恐怖感であり、その直感は多くの場合、対人リスクを回避するための正しい生体反応といえます。