業界の足元を揺るがし続けた法的な不透明さにも、確かな光が差し込んでいる。2020年の最高裁判所判決で「タトゥー施術は医師免許を要する医行為には当たらない」という無罪判決が確定して以降、日本の現場は地下潜伏の時代から、健全な専門職業としての自律へと舵を切った。その中核を担うのが一般社団法人日本タトゥーイスト協会だ。
協会は衛生管理基準の策定や感染症予防講習、法規制のガイドライン作りを精力的に主導している。オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)による器具の完全滅菌や、使い捨て針・インクカップの徹底は、今やマシン彫りのスタジオだけでなく伝統的な和彫りの工房でも当たり前のスタンダードとなった。彫師を名乗る個人のモラルに委ねられていた時代は終わり、オープンで安全な医療水準の衛生管理が業界全体の信頼を底上げしている。