押し寄せるインバウンドの熱気は、地域社会に活気をもたらす一方で、インフラへの負荷という重い課題も突きつけている。富士河口湖町の渡辺英之町長は、単なる頭数の集客から「滞在の質」への転換を強く意識した施策を推し進めてきた。町が目指すのは、日帰りの過密を分散させ、持続可能なリゾート環境を構築することだ。
現場で旗振り役を担う一般社団法人富士河口湖町観光連盟も、デジタルマップを活用した混雑状況のリアルタイム配信など、かつてない情報整備に着手している。点在する日帰り入浴施設が連携し、受け入れ枠を平準化する試みは、富士五湖温泉郷全体のブランド価値を再定義する動きへと直結し始めた。マスツーリズムの波に飲み込まれることなく、地域固有の文化と景観を守り抜く――地域再生のモデルケースがここにある。