日本整形外科学会の専門医たちの元には、胸郭の変形やそれに伴う頑固な背部痛を訴える若い世代の相談が増加している。多くは先天的な漏斗胸や鳩胸ではなく、日常の姿勢習慣が生み出した機能的な歪みだ。骨そのものの病変ではないため湿布や対症療法で終わることも多く、患者は根本的な解決策を求めてさまようことになる。
一方で、近年の過熱する美容医療産業はこの歪みすらビジネスの標的に組み込み始めている。くびれを人工的に作り出すために肋骨切除や脂肪吸引を提案する極端なクリニックの存在が、美容大国を中心に問題視されている。だが骨組みの機能不全を無視して外科的に輪郭だけを変えても、体幹の機能破綻という根本的な歪みは解消されない。美の追求が身体の崩壊へと転落する境界線が、まさにこの部位にある。