かつて日本スケート連盟や国際スケート連盟(ISU)のルール下で頂点を極めた時代から、羽生は採点規則の限界に挑むかのように音楽性を追求してきた。定められたエレメンツをこなすだけでなく、音符の一つひとつを視覚化するような滑りは、当時から異次元の評価を受けていた。
プロとなった今、ジャッジのスコアシートという制約から解き放たれた彼のスケーティングは、より純粋で濃密な芸術表現へと昇華している。ルールブックの枠組みを飛び越えたことで、バイオリンの即興演奏や感情の昂ぶりに合わせた自由な身体表現が可能となり、表現者・羽生結弦の真価がいっそう際立つ結果となった。