語源を探ると、その根底にあるのは極めて身近な和語だ。「寝取る(他人の配偶者や恋人と関係を持つ)」という動詞の受動態が「寝取られ(NTR)」であり、能動側の視点である「寝取り(NTRi)」や、第三者にパートナーを自ら差し出す「寝取らせ(NTRs)」とは明確に区別される。さらに近年では、交際前段階で横取りされる絶望を描く「BSS(僕が先に好きだったのに)」といった派生概念まで誕生し、感情のグラデーションに応じた細分化が進んだ。
最大の特徴は、視点の置き所にある。「寝取り(NTRi)」が奪う側の全能感や征服感を中心に描くのに対し、NTRは奪われる主人公の屈辱、葛藤、そして抗えない変化を追体験させる。この主観的な苦痛こそが作品の核であり、従来の純愛物とは真逆のベクトルで読者の感情を揺さぶり続けている。