航空機の安全性を正しく認識するためには、日常のリスクとの相対的な位置付けを把握することが欠かせません。よく引き合いに出されるのが、自動車事故との確率比較および宝くじ当選確率との比較です。
米国の統計調査機関などの分析によれば、生涯のうちに自動車事故で命を落とす確率は約101分の1(約0.99%)とされています。これに対し、航空機事故で死亡する確率は約1100万分の1。私たちが普段何気なく利用している自家用車やタクシーのほうが、統計上は10万倍以上も命を落とす危険性が高い計算になります。空港へ向かう高速道路を走っている時間こそが、旅路の中で最も事故リスクの高い時間帯であることは交通工学の分野で広く知られた事実です。
一方、日本で親しまれている「年末ジャンボ宝くじ」で1等(前後賞合わせて数億円)に当選する確率は2000万分の1(0.000005%)です。つまり、飛行機に乗って墜落事故に遭う確率は、宝くじの1等を引き当てる確率とほぼ同等の奇跡的な確率と言えます。私たちが「宝くじで億万長者になるのは夢のまた夢」と直感的に理解しているのと同様に、搭乗した飛行機が落ちることも通常ではまず起こり得ない事象なのです。