蔵内謙氏の名が全国ニュースのトップを飾った最大の契機が、2016年10月に実施された衆議院福岡6区補欠選挙です。自民党の重鎮・鳩山邦夫元総務相の急逝に伴って行われたこの選挙は、保守王国・福岡を真っ二つに割る熾烈な権力闘争へと発展しました。
自民党福岡県連会長であった父・蔵内勇夫氏は、県連主導で長男の謙氏を党公認候補として猛プッシュしました。しかし、対立陣営として名乗りを上げたのが、鳩山邦夫氏の次男で当時大川市長を務めていた鳩山二郎氏でした。「父の弔い合戦」を掲げて無所属で出馬した鳩山氏に対し、党本部は分裂を恐れて公認を見送り、双方を推薦しない「フリー勝負」の形をとったのです。
結果は鳩山二郎氏が10万票を超える圧倒的な支持を集めて勝利。蔵内謙氏はわずか2万2,253票にとどまり、供託金没収ライン(有効投票総数の10分の1=約1万7,000票)を辛うじて上回るレベルの歴史的惨敗を喫しました。組織力と団結を誇った福岡県連の威信は失墜し、父である勇夫氏は引責辞任を余儀なくされたのです。