かつて熱狂的な報道陣と警備警察官で埋め尽くされた東京都目黒区南1丁目の閑静な住宅街。東急目黒線の洗足駅や西小山駅からほど近いこの一角を訪れると、当時の面影は完全に払拭されていました。
約100坪を超えていた小和田邸の敷地は、建物の解体工事完了後、大手不動産デベロッパーの手によって美しく区画整理されました。現在その敷地には、白やベージュを基調としたモダンな意匠の高級分譲戸建て住宅が複数棟立ち並び、子育て世代を含む一般の住民が平穏な日常生活を送っています。現地には記念碑や案内板の類は一切存在せず、外観からかつて皇室ゆかりの邸宅であったことを察知することは不可能です。
長年この地に暮らす70代の近隣住民は、当時の記憶と現在の街並みについて次のように語ります。
「雅子さまが皇太子妃に決まった日の朝、家の前の坂道が数え切れないほどの報道陣と中継車で埋まった光景は今でも鮮明に覚えています。ご婚約後も、恒さんが帰国されるたびに黒塗りの車が出入りしていましたが、解体の知らせを聞いたときは一つの時代が終わったと感じました。工事は非常に丁寧で、騒音への配慮も徹底されていました。今は新しいご家族が越してこられ、子どもたちの声が聞こえる明るい住宅街になっています」
解体にあたっては、庭に植えられていた木々の伐採や家財の搬出も秘密裏かつ厳格に行われました。歴史的なスポットとしての観光地化を避け、静穏な住環境を未来へ引き継ぐという、小和田家側の近隣への深い配慮が現場の痕跡からも伝わってきます。