2017年の夏、事態は突如として臨界点に達した。スマートフォン一台を武器に、突如として赤裸々な告白動画を連日投下し始めた松居一代の姿は、テレビ界に強烈な激震を走らせた。連日のお昼のワイドショーは予定稿をすべて破棄し、彼女の動向を一挙手一投足追いかける事態に発展したのだ。
それまで芸能界の不祥事やスキャンダルは、週刊誌のスクープを基点に事務所主導の会見で幕引きを図るのが通例だった。しかし、彼女が選んだ戦場はYouTubeだった。台本のない独白、鬼気迫る表情、自らの言葉で直接大衆へ語りかける手法は、既存の報道統制を根底から無力化した。日本の芸能界において、タレント個人がデジタルツールで大手プロに真っ向勝負を挑んだ最初の決定打と言っても過言ではない。