大分の歴史を語るうえで「府内」という地名は特別な響きを持つ。中世、南蛮貿易の拠点として西洋文化が華開いたこの地では、独自の豊かな食文化が脈々と受け継がれてきた。その風土の中で誕生した粉もの文化の傑作こそが、この一品だ。
時代が変わっても、街の街頭や縁日で人々を笑顔にしてきた本質は変わらない。お小遣いを握りしめた子供たちから、昔を懐かしむ高齢者まで、誰もが等しく同じ焼きたての温もりを楽しんできた。単なる空腹を満たすための食べ物ではなく、地域の暮らしやコミュニティの真ん中に常に寄り添っていた存在なのだ。