活字から映像へと主戦場が移るにつれ、表現の場における葛藤はより先鋭化した。公共放送であるNHKが制作する「NHKスペシャル」などのドキュメンタリー番組は、一次資料の徹底的な掘り起こしによって戦争責任や軍部の暴走を検証し続けてきた。しかし、その放送内容に対して政治介入の疑惑が取り沙汰されるなど、検証番組そのものが歴史認識の対立軸に巻き込まれる事態もしばしば発生した。
一方で、単一の視点にとどまらない映像作品の存在も議論を呼んだ。日系アメリカ人監督ミキ・デザキによる映画『主戦場』は、慰安婦問題を取り巻く日韓の論者や歴史学者、運動家の主張を双方から捉え、巨大な物議を醸した。映画『主戦場』のような歴史ドキュメンタリー作品は、従来の報道とは異なるアプローチで歴史認識の対立構造そのものを可視化し、観客に対して「何が真実なのか」という問いを突きつける媒介となったのである。