1989年、伝説的俳優の急逝という悲劇が一家を襲った。当時まだ幼かった子供たちを抱え、女優であり写真家としても才能を発揮していた松田美由紀は、大きな試練の矢面に立った。彼女が選んだのは、単に遺族として静かに暮らす道ではない。亡き夫の遺した表現のスピリットを受け継ぎ、子供たちが自分自身の足で立てる場を作り上げることだった。
やがて立ち上げられたプロダクション「オフィス作」は、単なる芸能事務所の枠を超え、クリエイターたちが個性を研ぎ澄ます拠点となった。母として、そして経営者として、彼女は松田龍平という新しい才能の芽生えを誰よりも近くで見守り、余計な色をつけずにその原石のまま表舞台へと送り出す決断をしたのだ。