多くのアングラーが「FGノットがすっぽ抜けたのは編み込み回数(ハーフヒッチ回数)が足りなかったからだ」と誤認しています。しかし、摩擦系ノットの物理的メカニズムを紐解くと、これは完全な誤解です。
FGノットの強度は、PEラインがショックリーダーの表面に食い込み、引っ張られることでリーダーの断面がわずかに押し潰されてくびれが生じる「中国の指錠(指ハブ)構造」によって保持されています。したがって、すっぽ抜けが発生する原因はハーフヒッチの回数不足ではなく、以下の2点に集約されます。
1. 編み込み段階でのテンションの緩み
編み込み時にPEラインの張り(テンション)が抜けると、リーダーへの巻き付き角度が不均一になり、荷重がかかった際に摩擦が均等に分散されず、一部から滑り出して一気に破断・すっぽ抜けに至ります。
2. 本締め工程での摩擦熱と締め込み不足
FGノットにおいて最も失敗が多いのが本締めです。PEラインとリーダーを締め込む際、乾燥した状態のまま強い力を加えると摩擦熱でPEラインの強度が半減します。逆に、手を痛めることを恐れて締め込みが甘いと、リーダーの変色(食い込み)が起きず、大物がかかった瞬間に抵抗なく引き抜けてしまいます。
すっぽ抜けを100%防ぐための必須条件は、「ハーフヒッチを無駄に20回も繰り返すこと」ではなく、「編み込み後に唾液等で濡らし、グローブやノットプラーを用いてPEが透き通るまで一気に本締めすること」です。