骨粗鬆症の予防といえば「カルシウムの補給」が真っ先に思い浮かびますが、摂取したカルシウムがそのまま骨に定着するわけではありません。骨の中では、破骨細胞が古い骨を溶かす「骨吸収」と、骨芽細胞が新しい骨を作る「骨形成」が常に拮抗しています。カルシウムはこの材料の一部に過ぎず、腸管からの吸収を促す因子や、骨の網目構造(コラーゲン線維)にカルシウムを接着させる架橋物質が存在して初めて骨密度の上昇へとつながります。
骨密度が低下する最大の引き金は、加齢に伴うホルモンバランスの激変です。特に女性の場合、閉経期を迎えると骨吸収を穏やかに抑えていた女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急減します。これにより骨を壊すスピードが造骨スピードを圧倒的に上回り、50代・60代の女性では年間で数パーセントもの骨量が急激に失われる現象が起きます。
さらに、過度なダイエット歴、日光を極端に避ける紫外線対策、カフェインやアルコールの過剰摂取、運動不足による力学的負荷の欠如が、骨代謝のバランスを一層悪化させる構造的な要因となっています。