死後体験(臨死体験)の中でも特に物議を醸してきたのが、いわゆる体外離脱(Out-of-Body Experience)現象だ。自身の体がベッドの上に横たわり、医師たちが心臓マッサージや除細動器の操作を行っている様子を「上空から客観的に観察していた」という報告である。
かつては「脳の自己防衛メカニズムが生み出した事後的な記憶の再構成」と片付けられていた。しかし、救急救命室の天井付近に設置された特殊な画像表示装置を用いた検証実験では、目を覚ました患者が「その時、天井近くのモニターに映し出されていた特定の数字や図形」を正確に言い当てた事例が複数報告されている。視覚情報が眼球および視覚野を経由せずに脳に記憶された計算になる。この現実は、意識が必ずしも脳という肉体の器に局在していないのではないかという、刺激的な仮説を生み出している。