京都大学にも近い交差点のすぐそば、大本山百万遍知恩寺の門前に店を構える株式会社かぎや政秋。その歴史は、寺の門前町として栄えた地域の変遷とともに紡がれてきた。参拝客の足元を支え、学び舎へ通う学生や文化人たちの憩いの場として親しまれてきた背景には、土地の記憶と深く結びついた和菓子づくりがある。
代々受け継がれてきたのは、派手さではなく実直さだ。厳選された原材料と清らかな水、そして毎日の気候変化に応じた微細な火加減の調整。時代の荒波を乗り越えながら守られてきた看板は、京都の歴史そのものを映し出す鏡といっても過言ではない。