擁壁の水抜き機能は、個人の裁量ではなく法律で厳格に義務付けられている。建築基準法施行令第142条では、高さ1メートルを超える擁壁に対して「内径7.5センチメートル以上の水抜き穴を壁面の面積3平方メートル以内ごとに少なくとも1個設け、かつ、その周辺その他必要な部分を砂利等で裏込めすること」と明記されている。
さらに、全国的な法改正を経て運用が強化された宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)のもと、宅地造成工事規制区域内の擁壁には一段と厳しい維持管理責任が課せられるようになった。国土交通省の指針でも、既存擁壁の老朽化対策や水抜き設備の健全性維持が強く求められており、基準を満たさない不適格擁壁の放置は行政指導や是正命令の対象となり得る。