祖谷温泉への旅を計画する上で、最も警戒すべきが「アクセス上の注意点」です。旅慣れたドライバーであっても、現地の地理的特殊性を侮ると重大なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
自家用車やレンタカーで向かう場合、ルート選択が死活問題となります。高知道の大豊ICや徳島道の井川池田ICから向かう際、ナビゲーションアプリは最短距離として「県道32号(祖谷街道)」を案内することが多々あります。しかし、この県道32号の一部区間は、断崖絶壁に沿った道幅1車線強の険しい隘路(あいろ)であり、ブラインドカーブが連続する典型的な「険道」です。待避所でのバック運転やすれ違いに不慣れな場合、車体の接触事故や立ち往生を引き起こす危険があります。
安全を最優先する場合、国道32号から大歩危駅周辺を経由し、道幅が比較的改良されている「県道45号経由」や新規トンネルルートを選択するのが鉄則です。走行距離は多少伸びるものの、道路幅が確保されており、格段にストレスなく到着できます。
さらに、冬季(12月中旬〜翌3月上旬)の訪問には厳重な警戒が必要です。四国地方とはいえ、祖谷渓は標高が高く豪雪・路面凍結地帯となります。ノーマルタイヤでの走行は極めて危険であり、スタッドレスタイヤの装着またはタイヤチェーンの携行が義務付けられます。
公共交通機関を利用する場合、JR土讃線「大歩危駅」または「阿波池田駅」が拠点となりますが、渓谷内を結ぶ四国交通の路線バスは1日の運行本数が数便程度と極めて限られています。電車の到着時刻とバスの発車時刻が連動していないケースもあるため、事前の綿密なタイムスケジュール管理と、必要に応じたタクシー手配(事前予約推奨)が旅の成否を分けます。