厨房に立つ多くの人が抱く「酢と鶏肉だけで、なぜ一流店の仕込みのような柔らかさと深いコクが生まれるのか」という疑問。その答えは、調味酢に含まれる酢酸(さくさん)の保水・軟化作用にあります。
鶏肉、とりわけ水分量が抜けて繊維が硬くなりやすい部位において、鶏むね肉がパサつかない理由は極めて論理的です。肉の主成分であるタンパク質は、加熱によって縮み、内部の水分を外へ押し出してしまいます。しかし、酸性の調味料であるかんたん酢(pH約3.0前後)を加えて煮込むことで、肉内部のpHがタンパク質の「等電点(水分を最も抱え込みにくいpH域)」から酸性側へと大きくシフトします。その結果、筋繊維の網目構造が緩んで隙間が生まれ、加熱後も豊富な肉汁を内部に抱え込み続けることが可能になるのです。
さらに、ミツカンかんたん酢には、醸造酢だけでなく最適な糖分(果糖ぶどう糖液糖や砂糖)、塩分、昆布だし、レモン果汁などが精密な比率でブレンドされています。加熱調理の過程で、熱によってツンとした酸味の角が適度に揮発し、残った甘味とアミノ酸のうま味が肉の表面に凝縮。プロの料理人が時間をかけて調合する「照り」と「深み」が、フライパン1つで瞬時に再現される仕組みです。