大手エンタメメディアの読者アンケートやSNSでのファンコミュニティにおけるディズニー男性キャラクター人気ランキングを定点観測すると、トップ集団には極めて明確な共通点が存在します。数々のディズニー男キャラ人気投票結果で上位を争い続けているのが、『塔の上のラプンツェル』のフリン・ライダー(ユージーン・フィッツハーバート)と、『ズートピア』のニック・ワイルドです。
映画誌の特集や女性誌が実施するディズニーイケメンキャラランキングでも、この2人は常に頂点に君臨しています。従来の「無償の愛を捧げる高潔な王子」を抑え、なぜ元泥棒の青年と詐欺師のキツネがこれほどの熱狂を生み出しているのでしょうか。
まずフリンライダー人気の理由として語り草になっているのが、制作スタジオ内で実際に開かれたという伝説の「ホット・マン会議(イケメン会議)」です。バイロン・ハワード監督とネイサン・グレノ監督は制作時、スタジオ内の女性スタッフを大勢集め、「女性が本気で魅力的だと感じる男性像とは何か」を徹底的にヒアリングしました。髪型、目元、顎のライン、少し皮肉めいた口元の歪ませ方に至るまで、膨大な意見を集約して造形されたのがフリンでした。しかし、彼の真の魅力は外見以上に「自分の虚飾(フリンという偽名)を脱ぎ捨て、泥臭い本名(ユージーン)を受け入れてくれたラプンツェルのために命を差し出す」という精神的成長のプロセスにあります。
一方、ニックワイルド人気の理由と評判は、大人の鑑賞者の心を鷲掴みにする「諦念と情の深さ」に根ざしています。「キツネはずる賢い」という社会の偏見に傷つき、夢を諦めて斜に構えて生きてきた彼が、不屈のウサギ・ジュディとの出会いによって再び誰かを信じる勇気を取り戻していく軌跡。日本語吹き替え版における森川智之氏の包容力ある低音ボイスや、時折見せる気だるげな視線、ジュディの危機に即座に身体を張るギャップが、20代から40代を中心とする大人世代のファンを沼落ちさせ続けています。