順風満帆に見えたキャリアに決定的な暗雲が垂れ込めたのが、2002年に発覚した秘書給与詐取事件でした。政策秘書として勤務実態のない人物を公設秘書として国に名義登録し、国から支払われた秘書給与約4,900万円を詐取したとして、詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕された事件です。
連日のマスコミ報道のなか、辻元氏は議員辞職の記者会見で涙を流しながら深々と頭を下げ、公の場から姿を消しました。2004年に東京地裁で懲役2年・執行猶予5年の有罪判決が確定。法廷で彼女は事実関係を認め、罪を償う姿勢を示しました。自著の手記では「議員としての甘えと制度への無理解が引き起こした人生最大の過ちであり、言い訳の余地はない」と自責の念を綴っています。この事件は法的には執行猶予期間の満了をもって刑の効力が消滅していますが、20年以上が経過した現在も、ネット上で彼女を攻撃する際の最大の材料として繰り返し取り沙汰されています。
一方で、インターネット掲示板やSNSでは、この事件にとどまらず根拠の乏しい陰謀論や誹謗中傷が長年流布されてきました。とりわけ関西生コン事件(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部を巡る恐喝未遂事件)との関与を疑う書き込みや、ピースボートへの不当な公金還流疑惑などです。しかし、警察・検察の捜査や国会質問の記録、複数の報道検証記事を精査しても、彼女個人がそれらの違法行為に関与していたとする客観的証拠は存在せず、デマやレッテル貼りの域を出ないことが判明しています。