旅の失敗を未然に防ぐため、ネット上で流布されている誤った前提や見落とされがちな盲点を検証していく。
誤解1:「新幹線で行けば絶対に早くて確実」という思い込み
北陸新幹線・軽井沢ルートは最速のポテンシャルを秘めているが、軽井沢〜草津温泉間の路線バスは1日あたりの運行本数が限られている。新幹線の到着時間とバスの発車時間が合わなければ、軽井沢駅で1時間近く待機することになり、最速のメリットが完全に相殺される。また、軽井沢ルートの路線バスは標高の高い峠道(鬼押ハイウェイ・白糸ハイランドウェイ周辺)を経由するため、山道のカーブが多く車酔いしやすい点も注意が必要だ。
誤解2:草津温泉アクセス車冬用タイヤ規制の厳格さを甘く見る危険
マイカーやレンタカーで向かう場合、関越自動車道渋川伊香保ICルートから国道17号、国道353号、国道145号、そして国道292号を駆け上がるルートが王道となる。近年、上信自動車道の整備が進み、アクセス性は大幅に向上した。
しかし、草津温泉は標高約1,200メートルの高地に位置する。11月中旬から4月中旬にかけては、草津温泉街およびアプローチの山道は完全な雪道・凍結路面へと豹変する。群馬県警や国土交通省による冬用タイヤ規制が実施され、ノーマルタイヤでの走行は法令違反となるだけでなく、登坂不能による立ち往生を招く。「渋川伊香保ICを降りたときは晴れていてアスファルトが見えていたのに、草津に近づくにつれて突然猛吹雪の完全氷板路になった」というトラブルが毎年多発している。スタッドレスタイヤの装着はもちろん、四輪駆動車でない場合は金属チェーンの携行が不可欠である。
誤解3:東京から草津温泉日帰り可能か検証の落とし穴
「東京から草津温泉は日帰りできるか?」という疑問に対し、物理的には可能である。朝7時台の新幹線や特急を利用すれば午前10時過ぎには湯畑に到着し、夕方17時台の便に乗れば20時過ぎには都内へ帰着できる。現地滞在時間は約6時間〜7時間確保できる計算だ。
しかし、草津温泉の泉質は日本屈指の強酸性泉(pH2前後)であり、長時間の入浴は極めて強い体力消耗を伴う。移動に往復6時間を費やし、現地で名湯巡りを行った結果、「帰路に猛烈な湯あたりと疲労感に襲われ、旅の記憶が移動の苦痛で塗りつぶされた」という声は少なくない。草津の真価を味わうなら、最低でも1泊2日の旅程を組むことが賢明な判断と言える。