唇の裏側に生じる痛くないできものの代表格が粘液嚢胞です。唇の粘膜下には無数の「小唾液腺」が存在し、唾液を分泌するための細い導管が張り巡らされています。
食事中に誤って下唇を噛んでしまったり、歯並びの摩擦、あるいは無意識に唇を吸う癖(咬唇癖)などが加わると、この導管が傷ついて詰まり、行き場を失った唾液が粘膜下に溜まって袋状に膨らみます。これが粘液嚢胞のメカニズムです。
気になって針で突いたり、歯で噛み潰したりしたくなる衝動に駆られるかもしれませんが、自力で潰す行為は絶対に避けてください。一時的に中の液体(粘稠な唾液)が抜けて平らになっても、根本にある小唾液腺が傷ついたままであるため、数日から数週間で高確率で再発します。さらに、傷口から細菌が侵入して化膿し、強い痛みを伴う二次感染を引き起こす危険性もあります。
軽度のものであれば自然治癒することもありますが、繰り返し膨らむ場合やサイズが大きくなってきた場合は、医療機関で原因となった小唾液腺ごと切除・摘出する小手術を受けるのが確実な解決策です。