感動的な旅立ちの情景や「あふれる想い」を想起する際、日本人の心に深く根ざしているもう一つの巨塔が、レミオロメンの『3月9日』(2004年3月9日リリース)です。現在でこそ卒業ソングの頂点として定着していますが、その制作背景には知られざるドラマが存在します。
作詞・作曲を手掛けた藤巻亮太は、当時の特番インタビューや手記において、「小・中・高校と同級生だった幼馴染の結婚式を祝うために作った楽曲」であることを明かしています。実際に友人の結婚式が3月9日に行われたことからタイトルが名付けられ、歌詞カードをめくると「瞳を閉じれば あなたが まぶたのうらに いることで どれほど強くなれたでしょう」という、新生活を迎えるパートナー同士の慈愛に満ちた言葉が綴られています。
では、なぜ本来「ウエディングソング」であったこの曲が、日本全国の学校で歌い継がれる「卒業ソングの金字塔」へと変貌を遂げたのでしょうか。契機となったのは、2005年放送のフジテレビ系ドラマ『1リットルの涙』の挿入歌への起用でした。難病と闘う主人公のひたむきな青春と、合唱コンクールの場面で流れた『3月9日』のメロディが全国の視聴者の涙を誘い、季節感(3月)と相まって「卒業式で歌いたい曲」として社会現象化していったのです。