公立と私立を隔てる最大の壁は、実のところ「学費」にとどまりません。現場取材で多くの教育関係者が指摘するのは、教員の異動と指導体制、そして教育方針とカリキュラムの自由度という構造的な差異です。
公立学校の教員は地方公務員であるため、原則として3年から7年周期で他校への定期異動が発生します。どれほど優秀な進学指導ノウハウを持つ教諭であっても、数年で職場を去らざるを得ず、学校組織全体に進学指導の蓄積が定着しにくい弱点を抱えています。これに対して私立学校の教員は学校法人の専任職員として長年勤務するケースが多く、20年以上にわたる大学入試問題の分析データやOB・OGネットワークが校内に強固に蓄積されています。
この指導体制の差は、日々の授業内容や進学実績の違いに直結しています。公立校が国の定める学習指導要領を忠実に守り、検定教科書に沿った進度を維持する一方、私立の一貫校では高校2年次までに高校課程の全単元を修了させ、高校3年次の1年間をまるごと演習・大学受験対策に特化させる独自のカリキュラムが一般的です。難関大学の現役合格率や指定校推薦枠の多さにおいて私立校が優位に立ちやすい背景には、こうした綿密に計算された時間配分が存在します。