過酷な待遇と社会的批判の狭間で、いま最も深刻な危機として顕在化しているのが「教員採用倍率の歴史的低下」と「教員不足問題」です。
教員不足と給料問題の経緯を振り返ると、かつて昭和50年代に「人材確保法」によって教員の給料は一般公務員よりも約7%優遇され、優秀な人材を引きつけていました。しかし、その後の地方財政の悪化や行革の波に飲まれ、優遇分は段階的に縮小。待遇面でのアドバンテージが消滅した一方で、モンスターペアレント対応、プログラミング教育、道徳の教科化、ICT端末の運用管理など、学校現場に丸投げされるタスクだけが雪だるま式に増加しました。
その結果、文部科学省の調査でも小学校教員の採用倍率は全国平均で2倍台、自治体によっては1倍台に突入し、倍率の「底割れ」が常態化しています。精神疾患による病気休職者は毎年のように過去最多を更新し、欠員が出ても穴埋めができない「未配置問題」が学級崩壊や授業不能を引き起こしています。
事態を重く見た中央教育審議会(中教審)を中心に、給特法改正最新ニュースとして注目を集めているのが教職調整額引き上げ議論です。従来の「4%」から「10%以上(13%程度への引き上げや段階的是正)」へと拡大する案や、管理職手当の増額、学級担任手当の新設などが俎上に載せられています。
しかし、現場からは「調整額を10%にしたところで、月額2万〜3万円増えるだけ」「お金が欲しいのではなく、人間らしい睡眠時間と授業準備の時間が欲しい」という冷ややかな声が圧倒的です。残業代の青天井支給を導入すれば自治体の財政破綻を招くため、財務省は慎重な姿勢を崩しておらず、抜本的な定数改善(教員の増員)や業務の削減を法的に義務付けない限り、根本的な解決には程遠いのが現状です。