逆行列の求め方で挫折ゼロへ!2×2公式から3×3掃き出し法まで解説

逆行列の求め方で挫折ゼロへ!2×2公式から3×3掃き出し法まで解説

今注目を集めている 逆行列の求め方で挫折ゼロへ!2×2公式から3×3掃き出し法まで解説について、詳しいまとめを分かりやすく掲載しています。

2×2までは順調に進んでいた学習者が一気に脱落するのが $3 \times 3$ 以上の行列です。3×3の逆行列を求める代表的な手法には逆行列 3×3 掃き出し法(ガウス・ジョルダン消去法)と、逆行列 余因子展開 求め方(余因子行列を用いる方法)の2つが存在します。どちらを使うべきかは、行列の疎密(0の多さ)や次数によって厳密に使い分けるのが正攻法です。

手法1:ガウス・ジョルダン消去法(行基本変形を用いた掃き出し)

ガウス・ジョルダン消去法 行列の基本概念は、「元の行列 $A$ の右隣に単位行列 $I$ を並べた拡大係数行列 $[A \mid I]$ を作り、行基本変形を繰り返して左側を単位行列に変形したとき、右側に残った行列がそのまま $A^{-1}$ になる」という鮮やかな解法です。

$$[A \mid I] \xrightarrow{\text{行基本変形}} [I \mid A^{-1}]$$

利用できる行基本変形は以下の3操作のみです。

  1. ある行を何倍(0以外)かする。
  2. ある行の定数倍を、別の行に足す(または引く)。
  3. 2つの行を入れ替える。

具体的な数値例として、次の行列 $A$ の逆行列を掃き出し法で求めてみます。

$$A = \begin{pmatrix} 1 & 2 & 1 \\ 2 & 5 & 4 \\ 1 & 1 & 0 \end{pmatrix}$$

拡大係数行列をセットします。

$$\left(\begin{array}{ccc|ccc} 1 & 2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 2 & 5 & 4 & 0 & 1 & 0 \\ 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 \end{array}\right)$$

第1列の対角成分「1」を使って、2行目と3行目の第1列を0にします(第2行から第1行×2を引く、第3行から第1行を引く)。

$$\left(\begin{array}{ccc|ccc} 1 & 2 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 2 & -2 & 1 & 0 \\ 0 & -1 & -1 & -1 & 0 & 1 \end{array}\right)$$

次に第2列の対角成分「1」を軸に、第3行の第2列を0にします(第3行に第2行を足す)。ついでに第1行の第2列も消去します(第1行から第2行×2を引く)。

$$\left(\begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & -3 & 5 & -2 & 0 \\ 0 & 1 & 2 & -2 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & -3 & 1 & 1 \end{array}\right)$$

最後に第3列の対角成分「1」を用いて、第1行と第2行の第3列を0にします(第1行に第3行×3を足す、第2行から第3行×2を引く)。

$$\left(\begin{array}{ccc|ccc} 1 & 0 & 0 & -4 & 1 & 3 \\ 0 & 1 & 0 & 4 & -1 & -2 \\ 0 & 0 & 1 & -3 & 1 & 1 \end{array}\right)$$

左側が単位行列になったため、右側に現れた行列が求める逆行列です。

$$A^{-1} = \begin{pmatrix} -4 & 1 & 3 \\ 4 & -1 & -2 \\ -3 & 1 & 1 \end{pmatrix}$$

手法2:余因子行列を用いた公式解法

一方、余因子展開を用いる方法は、理論的な証明や成分に文字(変数)が含まれる場合に威力を発揮します。逆行列は余因子行列 $\widetilde{A}$ を用いて以下のように表されます。

$$A^{-1} = \frac{1}{|A|} \widetilde{A} = \frac{1}{|A|} \begin{pmatrix} \Delta_{11} & \Delta_{21} & \Delta_{31} \\ \Delta_{12} & \Delta_{22} & \Delta_{32} \\ \Delta_{13} & \Delta_{23} & \Delta_{33} \end{pmatrix}$$

ここで $\Delta_{ij}$ は、$i$ 行と $j$ 列を取り除いた小行列の行列式に符号 $(-1)^{i+j}$ を乗じた余因子です。最大の落とし穴は、余因子行列の添え字が「転置(行と列が逆)」になっている点です。$\Delta_{12}$(1行2列の余因子)は、逆行列の中では「2行1列」の成分に配置しなければなりません。試験で失点する学生の7割以上が、この転置のステップを見落とすことで不正解となります。

さらに逆行列 4×4 求め方となると話は激変します。4×4で余因子展開を行おうとすると、3×3の行列式を16回も計算しなければならず、計算量は $O(n!)$ の勢いで爆発します。したがって、4×4以上の逆行列を手計算する場合は、計算量が $O(n^3)$ で済むガウス・ジョルダン消去法一択となります。

計算手法計算量・ステップ数一般的な難易度・ミス傾向編集部の見解・推奨利用シーン2×2 専用公式極小(乗算2回・減算1回)極めて低い(符号ミスのみ注意)2×2行列なら迷わず選択。検算を含めても30秒以内で完結可能。ガウス・ジョルダン消去法
(掃き出し法)中程度($O(n^3)$ のアルゴリズム)途中で分数が生じると急激にミス率上昇3×3の一般数値、および4×4以上の手計算で推奨。ピボット選択で分数を避けるのがコツ。余因子展開法
(余因子行列の利用)膨大($n=3$で小行列式9回、$n=4$で16回)転置忘れ(添え字の反転ミス)が多発文字式(変数を含む行列)や「0」が極端に多い3×3行列に限定して利用すべき。数値解析的LU分解
(コンピュータ処理)最適化(メモリ効率重視)手計算には不向き(実装・プログラミング用)PythonやC++など実務のデータ解析。逆行列を直接保持せず連立方程式を解く。
橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。