ネット上の掲示板やSNSでは、「発酵メンマを仕込んだが白いカビが生えて捨てた」「部屋中が雑菌の臭いで充満した」といった悲鳴が散見される。だが、現場の取材で見えてきたのは、多くの人が「発酵」と「腐敗」のメカニズムを混同している実態だ。
まず、表面に発生する白い浮遊物や膜の正体だ。これは多くの場合、好気性酵母である「産膜酵母」であり、直ちに毒素を出すアオカビやクロカビとは異なる。しかし、産膜酵母を放置すると酸度が低下し、結果としてカビや腐敗菌の温床となる。発酵メンマのカビ防止における絶対的な失敗理由は、容器内に「空気(酸素)」が残っていることだ。植物性乳酸菌は通性嫌気性あるいは偏性嫌気性であり、酸素がない環境でこそ爆発的に優占する。袋の空気を完全に抜く「脱気」を徹底し、重石をかけて液面から竹が露出しないように保つことが最大の防御策となる。
次に、手作りメンマの臭い対策と真相について触れておかねばならない。仕込み初期から中期にかけて、独特の強い発酵臭が立ち込めることがある。これを「失敗した腐敗臭」と勘違いして廃棄してしまう初心者が非常に多い。乳酸発酵の過程では、乳酸以外にも酢酸や微量の酪酸などが微量に生成されるため、特有のツンとした発酵香が生じるのは正常な反応だ。ただし、「生ゴミが腐ったようなドロドロとしたアンモニア臭や硫黄臭」がし、液体が糸を引いている場合は酪酸菌や腐敗細菌が優占した失敗作であり、迷わず破棄しなければならない。この見極めは、pH試験紙で酸度(pH4.0以下が安全圏)を測定することでも科学的に確認できる。