ベースとなる下塗りが完了したら、最初に行うべきは髪の毛束感立体感の出し方の骨組み作りです。ベースレイヤーの上に新規レイヤーを作成し、必ずクリッピングレイヤー髪影を設定してください。これにより、ベースの外側に色がはみ出すストレスから完全に解放され、ストローク本来の勢いを維持できます。
プロの工程において鉄則とされているのが、影を「1影(環境影・落ち影)」と「2影(隙間影・オクルージョンシャドウ)」の2段階に厳格に分ける手法です。これらをひとつの層で済ませようとすると、塗りの境界線が曖昧になり、立体感が消滅します。
髪の毛影乗算レイヤー塗り方の実践において、1影はベース色よりも「やや彩度を上げ、色相環を寒色(紫や青み寄り)に10〜15度シフトさせた色」を選択するのがセオリーです。黄色系の髪なら赤み寄りのオレンジ、茶髪なら深みのあるボルドー寄りの紫を選ぶことで、乗算特有のくすみを防ぎ、鮮烈な印象を与えます。毛束の裏側や首筋にエアブラシとペン(フェード)で大きく影を流し込み、光が遮られる奥まった部分を確定させます。
続く2影では、毛束と毛束が重なり合う最も深い隙間や、前髪が額に落とすシャープな境界線に対して、ピンポイントで細い線を刻み込みます。この「柔らかい広範囲の影」と「鋭く硬い極小の影」のコントラスト差こそが、鑑賞者の視覚に奥行きを認識させる最大のギミックです。