ネット上の情報やSNSでは、冠婚葬祭のマナーが混同され、誤った情報が拡散している事例が散見されます。神道における七五三の儀礼において、絶対に避けるべき決定的なNGマナーを検証します。
1. 【筆記具の鉄則】ボールペン・薄墨は完全NG!濃墨の筆ペンが唯一の正解
最も致命的な誤解の一つが、「筆ペンなら何でも良い」という思い込みです。弔事(お葬式や法事)で使われる「薄墨(うすずみ)」の筆ペンで書くのは最大のタブーです。薄墨には「突然の訃報に涙で墨が滲んでしまった」という悲哀の意味が込められており、子どもの晴れ舞台である慶事に使用すると全く正反対の不吉なサインとなってしまいます。必ず「濃い黒墨」の毛筆、または濃墨タイプの筆ペンを用意してください。
また、ボールペンやシャープペンシル、フリクション等の消せるペンでの記入もNGです。簡易的な白封筒であっても、神前へのお供え物である以上、サインペンやフェルトペンなどの太い黒文字で書くのが最低限の作法です。
2. 【水引の形式】「紅白蝶結び」が絶対条件|「結び切り」は厳禁
店頭でのし袋を選ぶ際、水引の形状をよく確認せずに購入してしまうケースがあります。七五三のお祝いは「何度繰り返しても喜ばしいこと」であるため、結び目を何度でも解いて結び直せる「紅白の蝶結び(花結び)」を選ばなければなりません。
一度きりであってほしい結婚祝いや快気祝いで使われる「結び切り」や「あわじ結び」の水引がついた祝儀袋は、七五三の初穂料としてはマナー違反になります。売り場で迷った際は、水引がリボン結び(蝶結び)になっていることを必ず指差し確認してください。
3. 【のし袋がない場合】「白封筒」は失礼にあたるのか?
「手元にのし袋がない場合、一般的な白封筒で出しても大丈夫なのか」という疑問を抱く方は少なくありません。結論から言えば、郵便番号枠のない無地の白封筒(白二重封筒)を使用することは全く失礼にあたりません。神職の視点からも、過剰に華美なのし袋よりも、清潔な白封筒に濃墨で丁寧に「御初穂料」と子どもの名前が書かれている方が、本来の清浄を尊ぶ神道の精神に適っていると評価されることすらあります。ただし、茶封筒や企業ロゴ入りの事務用封筒は神事の場にふさわしくないため避けてください。
4. 【紙幣の状態とお札の向き】新札マナーと正しい封入作法
初穂料として納めるお札は、事前に銀行等で両替した「新札(ピン札)」を用意するのが基本マナーです。神様への感謝を捧げるにあたり、「前もって準備を整えてこの日を心待ちにしていた」という真摯な姿勢を示すためです。どうしても新札が手元にない場合は、手持ちの中で最も折り目の少ないきれいな紙幣を選び、布を当てて低温のアイロンを丁寧にあてることで、清潔感のある状態に整える工夫が推奨されます。
神社初穂料の封筒の入れ方にも明確なルールがあります。紙幣を中袋(または白封筒)に入れる際は、「お札の表側(肖像画が描かれている面)が封筒の表面」を向き、「肖像画が上部(最初に取り出したときに見える位置)」になるように収めます。お札の天地が逆になっていたり、裏表が不揃いになっていたりするのは無作法とみなされるため注意が必要です。