ネット上の口コミや愛車愛好家の間で根強く語られるのが、「洗車機に入れると細かい線傷(洗車キズ)だらけになる」という風評です。しかし、この言説は昭和から平成初期の硬質プラスチックブラシ時代の記憶が引きずられている側面が大きく、現代の洗車機事情とは乖離があります。
現在エネオスの主力となっている最新機種では、発泡ウレタンや極細の不織布ソフトスポンジが採用されており、ブラシ自体の素材が車のクリア塗装を傷つけることは構造上ほとんどありません。では、なぜ現在でも洗車機の傷評判と対策が議論され続けるのでしょうか。
現場を取材した洗車技術の専門家は、「傷の原因はブラシの毛先ではなく、車体表面に堆積した『硬い砂埃や黄砂』を巻き込んで擦ってしまうことにある」と指摘します。風雨にさらされた車体には、石英などの非常に硬い鉱物粒子が付着しています。これを予備洗いなしでいきなり高速回転するブラシで擦りつければ、ヤスリをかけているのと同じ状態になってしまいます。
洗車機で傷をつけないための最大の自衛策は、受付レーン手前に設置されている「予備洗浄用スプレーガン」やバケツの水を使って、泥汚れの溜まりやすいフェンダーアーチやリヤ周りの砂粒をあらかじめ水圧で落としておくことです。また、あらかじめ濃密泡で汚れを浮き上がらせる「泡」系の上位コースを選ぶことも、摩擦係数を下げてスクラッチ傷を極限まで防ぐ有効な対策となります。