ネット上には「耳のつまりを一発で治す裏技」として根拠の薄い情報や、かえって耳の構造を破壊しかねない危険な民間療法が氾濫しています。編集部が耳鼻科専門医の知見を集約したところ、絶対に避けるべきNG行動が浮き彫りになりました。
誤解1:無理な「耳抜き(バルサルバ法)」を繰り返す
耳が詰まった際、鼻をつまんで力任せに息を送り込む「バルサルバ法」を無意識に行う人がいますが、これは極めて危険です。もし症状の原因が「耳管開放症」であった場合、すでに開きっぱなしの耳管を通じて高圧の空気がダイレクトに中耳腔へ激突し、鼓膜を痛めたり、最悪の場合は内耳の窓が破れる「外リンパ瘻」を引き起こして激しい回転性めまいと高度難聴を招く恐れがあります。また、鼻腔内にウイルスや細菌が存在していた場合、病原体を中耳へ圧送して急性中耳炎を発症させる引き金にもなります。
誤解2:市販の点鼻薬を頻繁に連用する
鼻づまりを解消すれば耳の通りも良くなると考え、市販の血管収縮薬入り点鼻スプレーを常用する人がいます。しかし、これを漫然と1〜2週間以上使い続けると「薬剤性鼻炎」を引き起こし、かえって鼻甲介粘膜が硬く肥厚して耳管開口部を物理的に圧迫します。結果として耳管狭窄症を重症化させる本末転倒の事態に陥ります。
安全に試せる応急処置と耳のつまり解消ツボ
医療機関へ行くまでの間、自分の声が反響する際の対処法として安全に実施できるのは以下の行動です。
- 姿勢の変更:前述の通り、椅子に座って頭を深く下げるか、ソファーに横になることで首の静脈を鬱血させ、一時的に耳管を閉じさせる。
- 十分な水分補給:脱水は耳管周囲の循環不全を加速させます。常温の水やスポーツドリンクを意識的に補給する。
- 低刺激のアキュポイント刺激:耳周囲の血行を促すツボを、決して強打せず「人差し指の腹で痛気持ちいい程度に5秒間押し、ゆっくり離す」動作を3セット行います。
- 翳風(えいふう):耳たぶのすぐ後ろにある骨のくぼみ。内耳への血流をサポートする代表穴。
- 聴宮(ちょうきゅう):耳の穴の直前、口を開けたときにわずかに窪む場所。耳の閉塞感や耳鳴りの緩和に多用される。