十二誘導心電図の貼り方と読み方完全攻略!肋間のズレが招く誤診の真相の全貌を詳しく解説してご紹介します。
心電図の各誘導が心臓のどの壁面を見ているかを空間的に把握することは、虚血部位の同定において最優先事項です。正常な心電図波形の基準値と臨床異常値の指標、および急性冠症候群におけるST上昇領域と責任病変(Culprit Lesion)の相関データを網羅した臨床比較表を以下に示します。
誘導区分解剖学的観察部位心筋梗塞における責任冠動脈臨床的特徴・見落としリスクV1, V2前中隔壁(心室中隔)LAD(左前下行枝)#6〜7、中隔枝高位貼付でQS化しやすい。脚ブロック(右脚ブロック・左脚ブロック)の鑑別拠点。V3, V4前壁(左室自由壁前側)LAD(左前下行枝)主幹部〜末梢広範前壁梗塞で著明なST上昇。心原性ショックや心破裂のハイリスク領域。I, aVL, V5, V6側壁(高位側壁および側壁)LCX(左回旋枝)またはLAD対角枝aVL単独のわずかなST上昇(South-African Flagサイン)は高位側壁梗塞の超初期所見。II, III, aVF下壁(横隔膜面)RCA(右冠動脈 #1〜4)約85% / LCX約15%房室ブロック合併率高。I, aVLの鏡面像(Reciprocal ST低下)の存在を即座に確認。V3R, V4R(右側誘導)右室自由壁RCA近位部(#1〜2)完全閉塞下壁梗塞に高率で合併。ニトログリセリン等の血管拡張薬投与で血圧崩壊を招く絶対禁忌。V7, V8, V9(後壁誘導)後壁(後下壁・背側)LCX(回旋枝末梢)またはRCA後下降枝標準12誘導ではV1〜V3にST低下・高いR波として投影されるため、見逃しが極めて多い。
心筋虚血の判定基準値として、J点におけるST上昇は「V2-V3誘導において40歳以上の男性で0.2mV(2mm)以上、40歳未満の男性で0.25mV(2.5mm)以上、女性は年齢を問わず0.15mV(1.5mm)以上。その他の誘導では男女ともに0.1mV(1mm)以上」が国際的な診断基準値です。これら数ミリの判定が、電極位置のズレひとつで容易に消失、あるいは不当に創出されてしまう事実を忘れてはなりません。